理系ライティングと学歴について

理化学系ライティングのプロフィールではどうしても学歴に目が行きがちになります。国公立の理系を卒業してれば、す、すごい! となるわけですが、理系に強いと言われるライターさんは、全てそういう学歴を持っているわけではありません。

ただ、国公立や有名私立大学を卒業していると、少なくとも二十歳前後で、論文を目にしたり、書いたりしています。ライティングに必要な基礎の基礎は、少なくとも経験していることになります。そこから数年、あるいは十年以上、理化学系ライターをされている方の実力は相当なものだと思います。

しかしながら、理化学系ライターになるために、高学歴、理化学系専攻は、必ずしも必要というわけではありません。テーマの把握力、読解力、語彙力、そして伝えるための表現力があれば、むしろ知らないことが、わかりやすく伝える言葉となって発信されるからです。

私が、理化学系の仕事をよく受けるようになったのは、今から十年以上前、ある医療用医薬品のプロモーションをすることになったのがきっかけです。それまで、私はいわゆる一般薬(薬局や薬店で販売する薬)の広告や販売促進に関わっていました。その関係で、医療用医薬品の仕事をしないか? とのお声がかけをいただいたのです。なんだか、面白そうだな〜という感じで引き受けたのですが、数日後、のっぴきならない状況になりました。

その代理店の担当者から「ドクターに提出するようの論文検索をしといてね〜。」とかるーくメールが入っていました。そこから、頭はパニック状態で「そんなんしらんがなー」と思いながらも「やっときますー」と簡単に応えてしまったのです。日本語だけならまだしも、キーとなるタグラインから英文検索を行う、とんとわからない状況に突入。

とりあえず、二日後くらいにタイトルやURLを代理店の人に送りました(有料だったので)。なんだか、たまたま(当時は・・・)それが、的を得た論文だったようで、そこから専門書を取り寄せて、模式図を作成したり、素案となる構成を作成したりして、全くの手探り状態で資料を作成して大学の先生へのプレゼンへとこぎつけました。

すこしばかり医薬品メーカーの仕事をしていたとはいえ、まったくの素人に近い状態で超専門的な内容をまとめあげることができたのは奇跡的だとかなりの自信になりました。

しかし、大きな失敗がその後にやってきます。こちらは医療系の仕事ではなく、アルゴリズムを用いた生産体制を持つ企業の事業内容の紹介です。インタビューをしてなんとなく分かった風にまとめたのですが、それを読んだ企業のトップが大激怒!この内容じゃきちんとした説明になっていない!という大いなるお叱りを受けたのでした。噛み砕いた説明をしなければいけないのに専門用語をよく理解しないまま文章として作成していたからです。用語には、社内でしか使わないような言葉が散りばめられていました。

もちろん、その仕事はそこで打ち切り、以降、そこからの仕事はこなくなりました。

まあ、そうした失敗があったからこそ、調査すべきこと、テーマとすべきこと(訴求ポイントなど)、専門用語の噛み砕き方など、体験的に知り得て、なんとか今まで続けられているのかとも思います。私は、国公立でも有名私大の卒業生でもありません。でも、失敗しながら長く続けてきたおかげでいろんなお仕事を引き受けるようになっています。ある種の根性とか粘りもあったからだとも思います。

でも、仕事を受ける際に、学歴は結構効いているんじゃないかと思うことも事実です。ただ、それは、あくまで、最初の選考段階の話です。うちのスタッフとしてプロジェクトを組むライターのプロフィール一覧では、あえて国公立大、有名私大卒の肩書きを持つライターを最初に配置することがあります。すると、そのまま受け入れられることが多いからです。これもウチの武器なのかなあと思ったりします。

大阪で理系ライターをしています

株式会社アワードは、理系ライターが在籍するコンテンツメーカー&メディアメーカーです。高校・大学などの教育広報に関わる取材・ライティングと医療、化学、工学などの理系に関わるマーケティング・ライティングを得意としています。教育系・理化学系の理解を深め、いろいろな新しいシードが花開くことをお手伝いします。弊社の詳細に関するサイトはこちらに移転しています。https://www.awordinc.com